最高裁判所第一小法廷 昭和24年(れ)1226号 判決 1949年12月08日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人若林清上告趣意第一点について。
所論は、本件少年に対する刑事事件の審理について少年法第六四條、第三一條の要請する調査が不十分な点において違法があると言うのである。しかしながら、記録によれば、原審公判は昭和二四年二月一二日開かれたものであり、同年一月一日よりは新少年法が施行せられており、前記旧少年法の法條は適用がないわけである。そして、旧少年法の前記法條に該当する新少年法の規定を探せば、第五〇條、第九條ということになるであろうが、これらの規定は絶対の遵守を要請する強行規定とまでは言うを得ないものであって、裁判所に対し事情の許す限りなるべく遵守するよう努力を要請している一種の訓示規定と解するを相当とする。論旨は、それ故に採用することを得ない。
同第二点について。
短刀不法所持と短刀を突付けての強盗とは、犯罪構成要件も異り被害法益も異っているから、原判決が併合罪の規定を適用したのは正当である。また、短刀不法所持は、強盗罪の性質上その手段として普通に用いられる関係にあるものと言うことができないから、両者は牽連関係を有しないのである。論旨は、それ故に理由がない。
よって旧刑訴四四六條に從い主文のとおり判決する
この判決は裁判官全員の一致した意見である
(裁判長裁判官 真野 毅 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 岩松三郎)